発がん性があるアスベスト(石綿)の除去を巡り、日本を除く主要先進国が業者に免許を交付するライセンス制度を設けていることが、民間団体の調査で分かりました。国内には個人の資格制度はありますが、業者全体を対象とした許可制は導入されていません。
調査を行ったのは、石綿疾患の被害者や労働組合、支援団体でつくる「石綿対策全国連絡会議」です。調査によると、欧州連合(EU)は加盟国に対し「除去業は権限のある機関の許可が必要」と定めています。英国やフランス、ドイツ、オランダなどが免許制度を採用しており、アメリカ、オーストラリア、韓国にも同様の制度があるといいます。
これらの国では、免許の更新審査が定期的に行われます。手抜き工事や飛散事故が発覚すると、免許の取り消しや停止処分が科される仕組みです。一方、日本の個人資格は2日間の講習を受けて試験に合格すれば取得でき、更新の必要もありません。行政による評価や監視が行き届きにくいのが実情です。
専門家からは「モラルや質の低い除去業者が生まれやすい」「国の規制権限が十分に行使されていない」といった懸念の声が上がっています。飛散しやすい吹き付けアスベストが使われた可能性がある民間建物は国内に約280万棟あり、解体のピークは2028年ごろと推定されています。早急に厳格な規制を導入すべきだという指摘が強まっています。
厚生労働省は「石綿除去業者へのライセンス制は導入していないが、必要な知識を持つ人が作業に対応し、問題があれば労働基準監督署が作業停止を命じることもできる」と説明しています。しかし、被害者団体などは、業者そのものを許可・監督する仕組みの導入を求めています。