大阪府警は19日、背任の疑いで、大手ゼネコン「竹中工務店」の元大阪本店総括作業所長・河井辰巳容疑者(61)=奈良市=を逮捕しました。容疑は、2025年2月から6月にかけて、下請け業者と共謀し、万博会場の仮設事務所の内装工事費を水増し請求させ、会社に約1369万円の損害を与えたというものです。
関係者によると、水増し分は河井容疑者の自宅や所有するマンション、親族が経営する飲食店のリフォーム費用の一部に充てられていた疑いがあります。総額では6000万円以上の利益を得ていた可能性があり、府警はさらに詳しく調べています。19日には竹中工務店本社の家宅捜索も行われ、段ボール箱を持った捜査員らが次々と入る様子が確認されました。
逮捕容疑の詳細によると、河井容疑者は下請けの奈良県内の土木建築会社に指示し、部材や工賃の単価を水増ししたり、架空の作業費を計上したりして、約2779万円を振り込ませたとしています。このうち正規の工事費を除いた約1369万円が会社の損害とされています。河井容疑者は当時、万博工事の現場責任者として下請け業者を事実上選定できる立場にありました。
竹中工務店は大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の西工区(約700メートル)を、共同企業体(JV)の一員として担当していました。大屋根リングは全周約2キロの世界最大級の木造建築物で、万博の象徴的な存在でした。同社は逮捕を受け、「従業員が逮捕されたことは誠に遺憾。厳粛に受け止め、警察の捜査に全面的に協力し、事実関係を確認次第厳正に対処したい」とコメントしています。
万博の会場建設費は当初1250億円と想定されていましたが、資材や人件費の高騰により2350億円まで膨らみました。国と大阪府市、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担する中で起きた今回の事件は、巨大イベントの陰で業者間の「なれ合い」が不正を招いた構図を浮き彫りにしています。府警は全容解明を進めており、さらに不正の規模が拡大する可能性もあります。
この事件は、国家的な大型プロジェクトにおける透明性と監督のあり方を改めて問うものとなっています。竹中工務店は今後、社内調査を徹底し、再発防止策を講じる方針です。万博という国民的イベントの信頼を損なう事態だけに、社会の関心も高まっています。