例題4 疑問提示文 菅聡子ほか『明治 大正 昭和に生きた女性作家たち』(お茶の水学術事業会) (注1)啓蒙的:人々に新しい知識を与え教え導く/(注2)覚醒:目を覚ますこと
問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
明治二十年代は、日本の近代文学史上、最初の女性作家の時代でした。(中略)そのような歴史の流れのなかで、明治時代、とくに二十年代を一つの画期として、女性作家たちが次々と登場するようになったのはなぜでしょうか。
一つには、西洋思想の影響によって、女性たちをとりまく状況が変化したことがあげられます。明治初期を代表する啓蒙的な知識人たち―福沢諭吉・中村正直・森有礼ら―は、西洋思想の影響を受け、女性たちの社会的な覚醒や地位向上が日本の近代化にとって重要な意義を持つことを認識し、雑誌その他のメディアを使って、女性の地位向上の必要性を説きました。新時代の指導的立場を自認する人々が開明的な女性論を展開していくなか、女性の社会進出を受けいれる精神的な土壌が、不十分ではありましたが用意されつつありました。
そして、何より強調すべきは、女子教育の成立です。明治の女性作家の第一世代は、その多くが女学校での新しい教育を受けた人々でした。明治十年代を中心とする多くの女学校の創立は、それまでの日本には存在しなかった〈女学生〉という新しい層を生み出しました。女学生の絶対数が増加すれば、彼女たちを対象とした雑誌も次々と刊行されるようになります。女性たち自身の内面的な覚醒は、外的・内的条件の両面から促されていきました。このような中で、自ら語る主体であろうとする女性たちが文壇に登場し始めたのです。
練習15(補完) 疑問提示文(装飾論) オリジナル問題(本書の技法に沿って新規作成)/本書の練習15は参照元ページで設問が欠落していたため、同じ技法で作成
問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
動物にも、美しい模様や色を持つものは多い。孔雀の羽根も蝶の翅も、人間の作るどんな装飾より精巧である。では、人間の装飾は動物のそれと何が違うのだろうか。
違いは、美しさの度合いではない。孔雀は羽根を脱ぐことができない。蝶も翅を着替えることができない。彼らの装飾は身体そのものであり、生まれてから死ぬまで一つの姿を生きるほかない。
人間だけが、装いを脱ぐことができる。朝と夜とで別の姿になり、場面によって別人のようにふるまうことができる。着るという行為が意味を持つのは、脱ぐことができるからである。装飾が身体から分離した瞬間に、人間は「今日は何者であるか」を自分で選ぶという、動物の持たない厄介な自由を手に入れたのだ。